夢を売る男

自費出版を仕事としているなら、ぜひ読んだ方が良いと勧められ早速読みました。人気作家、百田尚樹の作品です。

舞台は出版業界、それも我が社と同じ自費出版の業界。主人公の牛河原が学生や主婦、定年を迎えた大学教授など出版の素人を言葉巧みにおだて、本を出版させる出版業界の裏話です。

自費出版の場合、ごく一部は書店で販売されますが、知人や友人など関係者に贈呈することが一般的です。しかし中には売れないと分かっていても、この本のような詐欺まがいの出版(ジョイントプレスなど)があるのも事実でしょう。

百田尚樹はこの実態をフィクションとして仕立てていますが、業界の人が読めばB社などの暴露本であることは想像に難くありません。帯にブラックコメディと書かれているとおり、軽快なシナリオと文章力は素直に読んでもおもしろい。難しい本が苦手な方でもスラスラページがめくれ一気に読めるはずです。

ただ私の場合、分かってはいたものの目の当たりにこんなひどい現実を見せられると気分が悪くなってしまいました。

当社など、NPO法人日本自費出版ネットワークの加盟社では考えられない事ですが、小説に出てくるような悪徳業者では、標準的な価格の3〜4倍の価格で取引されています。これから自費出版をお考えの方には騙されないためにも必読の本です。私も自費出版アドバイザーとしてこんな被害者が出ないように微力ながら活動して行くつもりです。